


拡張パック「メガブレイブ」の発売以来プレイヤーの頭を悩ませている問題があります。
「ナンジャモ・博士・リーリエ問題」と言いましょうか、デッキに採用するドローサポートの種類と枚数配分に関する問題です。
この難題について私の考えをまとめます。
「ナンジャモ・博士・リーリエ問題」とは?
「ナンジャモ・博士・リーリエ問題」というのは主に、「リザードンex」や「ドラパルトex」などの2進化において、採用するドローサポートの種類と枚数配分をどうするのが最適なのかに関する議論です。
そもそもこの議論が発生している原因はそれぞれサポートの特徴の差にあります。
それぞれの特徴を考えてみましょう。
まずは《ナンジャモ》の特徴は以下の通りです。
- 引ける枚数がサイド数によって変化する(最大6枚)
- 手札のカードを山下に送ってからドローする(シャッフルしない&引き直すことがない)
- 手札のカードをトラッシュしなくてよい
- 相手の手札に干渉できる
続いて《博士の研究》の特徴です。
- いつでも確実に7枚引ける
- 手札をトラッシュすることができる(山札が減らせる)
- 山札の上からそのままドローする(シャッフルしない)
最後に《リーリエの決心》がこちら。
- 序盤は8枚、中盤以降も6枚確実に引ける
- 手札のカードをトラッシュしなくてよい
- 山札を混ぜてから引き直す(元の手札のカードが戻ってくる可能性もある)
いずれの特徴も長所であり短所でもあります。
例えば「相手の手札に干渉できる」というのはこの3枚の中では《ナンジャモ》にしかない特徴です。
もちろん終盤に使えば相手の手札を大幅に減らすことができますが、後攻1ターン目に使うとほとんどの場合は相手の手札を増やしてしまいます。
《博士の研究》は3枚の中で唯一手札をトラッシュしてからドローするカードです。
山札に不要なカードが戻らないので、終盤にかけて「強い山札」を作っていくのに役立ちます。
しかしながら「序盤は不要だがゲーム内で必ず使いたいカード」が手札にある時は、使うことで勝ち筋を減らすことにもつながります。
「どのカードが最強」ということはないので、デッキとタイミングによって正解が変わります。
どのカードがどのような状況に最適なのかを考えていきましょう。
「リザードンex」における比較
「リザードンex」はほとんどが「ピジョット型」ですが、その中でも「ボム無しマシラ入り」「ボム増しマシラ無し」「ボム入りマシラ入り」「ボム無しマシラ増し」「宝石型」など様々な構築があります。
それでも共通して言えるのは「グッズロックがめちゃくちゃきついデッキである」ということです。
そしてもう一点「《博士の研究》はありえない」ということです。

戦績:ジムバトル優勝
【デッキコード】QinnLH-01RvA5-QgngnH

戦績:ジムバトル優勝
【デッキコード】ggnN9Q-dI34Z0-nNniNn
実際にいくつかのリストを見ても、《ナンジャモ》と《リーリエの決心》の枚数は異なりますが、《博士の研究》を採用しているものはほとんど見かけません。
この理由は明白で《ピジョットex》による状況に合わせたカード選択ができなくなるからです。
「リザードンex」は《ピジョットex》の「マッハサーチ」を使う前提でデッキが組まれているので、多様なカードを1~2枚ずつ採用するという構築になっています。
つまり「今は不要だがゲーム内で必ず使いたいカード」が大量に入っているのです。
序盤にドローサポートを打って強引に動くために、これらをトラッシュしてしまうのは負ける原因になりかねません。
そのため「リザードンex」において《博士の研究》はほとんど採用されません。
では、《ナンジャモ》と《リーリエの決心》ではどちらが優先なのでしょうか。
ここで重要なのが「グッズロックがめちゃくちゃきついデッキである」点です。
「グッズロック」された場合、山札から引いたカードで盤面を作っていかなければなりません。
そうなると当然「ドローサポート」を使います。
このとき《ナンジャモ》と《リーリエの決心》のどちらを使いたいでしょうか。
6枚しか引けない《ナンジャモ》より、8枚引ける《リーリエの決心》の方がいい気がします。
しかし、《ナンジャモ》の6枚は手札にあったカードとは異なる6枚であることが確定しています。
元の手札がグッズロック下では使えなかったカードなので、その時点では不要なカードである以上これを確実に避けることができるのは大きいです。
ですが《リーリエの決心》で引く8枚に元の手札が戻ってくる確率はどのくらいなのでしょうか?
例えば、8枚のうち6枚が元の手札と異なるなら手札が多い分《ナンジャモ》を使うよりも良いということになります。
実際に確率を考えてみましょう。
例えば「ドラパルトex」が後手1ターン目にグッズロックをしてきたとします。
先攻の1ターン目には《ネストボール》を1枚使ったとすると、2ターン目の手札は使うサポートを抜いて7枚、デッキは43枚です。
2ターン目にカードを2枚使った場合から、5ターン目までカード1枚も使えなかった場合までの「新規カードの枚数」を考えました。
手札/デッキ | 新規6枚以上 | 新規5枚以上 |
---|---|---|
5枚/43枚 | 97.28% | 99.83% |
6枚/43枚 | 95.30% | 99.57% |
7枚/43枚 | 92.87% | 99.15% |
8枚/42枚 | 89.54% | 98.30% |
9枚/41枚 | 85.64% | 97.36% |
10枚/40枚 | 81.23% | 95.93% |
それぞれ「当たりが5枚ある48枚の束から8枚引き、当たりが2枚以下である確率」というように考えています。
《リーリエの決心》を使ったときに元の手札を再度引く確率は想像以上に低いですね。
5枚新規カードが来るだけでも《ナンジャモ》とほぼ同じ仕事をしていると考えれば、圧倒的に《リーリエの決心》を使う方が良いでしょう。
ただし注意したいのは、この確率は「グッズロックから抜け出せる確率」ではありません。
新規カードが2枚だろうが、8枚だろうが中間進化が引けなければこちらの盤面は進みません。
「グッズロックから抜け出せるようにしたい」と考えるなら、「ドローサポート」ではなく「確定サーチ」を増やすべきです。
構築の際は《ペパー》や《タケシのスカウト》《ジニア》との枚数調整も含めて考えましょう。
「ドラパルトex」における比較
「ドラパルトex」において《ナンジャモ》は「ドローサポート」よりも「初動にもなれる手札干渉」という立ち位置です。
ロングゲームをする上に相手がサイドを先行するデッキでもあるので「手札干渉」の価値は高く、《ナンジャモ》4枚はほぼ確定です。
となると《リーリエの決心》と《博士の研究》の比較となります。
「ドラパルトex」は「リザードンex」ほど「トラッシュできないカード」が多くありません。
そして「ていさついしれい」で山札を掘っていく関係上、「山札を減らすメリット」「山札を混ぜないメリット」も無視できません。
そのため《博士の研究》の価値が他のデッキよりも高いといえます。
ただ、それでもシティリーグ2026シーズン1第1週の入賞リストのほとんどは《博士の研究》は0~2枚採用にとどまっていました。

戦績:シティリーグ優勝
【デッキコード】Y4ccc8-uuC3lX-JxKxDx

戦績:シティリーグ優勝
【デッキコード】8cGcYY-YtoN9J-cYacK8
理由は《ペパー》から《ワザマシンエヴォリューション》を使うプランをやめたことにあります。
これによってまず、ドローサポートを打って《ドロンチ》を探さなければならなくなりました。
そうなると《ドロンチ》を立てた後に強い《博士の研究》よりも、1枚でも多くカードを引ける《リーリエの決心》を優先する必要が出てきました。
その証拠に確実に《ドロンチ》になれる《タケシのスカウト》も2枚ほど採用するのがトレンドになっています。
結果として《ナンジャモ》4枚《リーリエの決心》4枚《博士の研究》0~2枚という配分のリストが多くなっています。
再び《ペパー》+《ワザマシンエヴォリューション》型が流行すればドローサポートの枚数はまた変わってくるでしょう。
まとめ
結論は「どのサポートが強いかはデッキによる」です!
この後は「オーロンゲex」や「サーナイトex」における《ナンジャモ》《リーリエの決心》《博士の研究》の採用についても考えていきたいと思います。
それぞれのデッキの採用理由について皆さんの考えをコメントしていただけましたら幸いです。


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