


8月1日に発売された「メガシンフォニア」に《あやしい時計》というカードが収録されました。
このカードに関するQ&Aに興味深いものがいくつかありましたので「退化」のルールとともに解説していきます。
現スタンダード唯一のセルフ退化《あやしい時計》
自分の進化ポケモン1匹の上に載っているポケモンを手札に戻す「退化」と言われる珍しい処理を行うカードです。
スタンダードにも退化の能力を持つカードは数枚存在しますが、いずれも相手のポケモンを対象とするものです。
この数年間で初めての効果なので、自分のターンで退化させた場合の注意点を知らないプレイヤーも多いと思います。(私も知りませんでした)
それゆえにQ&Aにも以下のような質問が投げかけられています。
Q1
Q:グッズ「あやしい時計」の効果で、ベンチのキルリアをラルトスに退化させました。 同じ番の中で、ポケモンのどうぐ「ワザマシン エヴォリューション」に書かれているワザ「エヴォリューション」の効果で、ラルトスを進化させることはできますか?
A:はい、できます。
キルリア、ラルトス、ワザマシンエヴォリューション
Q2
Q3
《あやしい時計》のテキストに[退化したポケモンは、その番に進化できない。]とあるのに、いずれの場合も進化可能となっています。
ポケカは基本的に効果が重複するときは厳しい方を採用することになっていますので、ルールに詳しい人ほど疑問を感じるのではないでしょうか。
具体例としては《キラフロルex》と《ゼロの大空洞》の「ベンチ枠増減効果」が同時に適用されるとき、ベンチが3枠になるという物があります。
この疑問を解消するためには「効果外テキスト」についてお話する必要があります。
「効果外テキスト」とは?
便宜上「効果外テキスト」と呼んでいますが、公式の呼称ではありません。
カードに書いてあるルールの説明部分のことで、[]で表記されます。
代表的なのは《サケブシッポ》などの「ベンチ狙撃ワザ」に書いてある[ベンチは弱点・抵抗力を計算しない。]の部分です。
これはカードの効果に関するルールを説明している部分で、これらのカード自体の効果ではありません。
プレイヤーにわかりやすいように補足として記述されているものと考えてください。※公式のルールガイドに記載がある情報ではありません。
よく見ると《キラフロルex》や《あやしい時計》のテキストも[]で書かれています。
《あやしい時計》のテキストにある[退化したポケモンは、その番に進化できない。]という文言は「効果」ではなく「ルールの補足」であるということです。
つまりどういうことだ?と思う方は次の章に進みましょう!
「効果VS効果」「ルールVS効果」
ポケカには時々「ルールを無視する効果」があります。
《活力の森》は「場に出したばかりのポケモンはその番に進化できない」というルールを、《ふしぎなアメ》は「2進化ポケモンは1進化ポケモンに重ねて出す」というルールを破る効果です。
こうした効果のカードが成り立つことからわかるように「カードの効果」は「ルール」よりも優先して適用されるのです。
では「カードの効果」と「カードの効果」が重複するときについて考えてみましょう。
丁度いい質問が公式のQ&Aにありました。
Q4
Q:場にスタジアム「活力の森」が出ているとき、手札からフシギダネをベンチに出した後、グッズ「ふしぎなアメ」を使って、そのフシギダネをメガフシギバナexに進化させることができますか?
A:いいえ、できません。
これは《ふしぎなアメ》の効果の(最初の自分の番や、出したばかりのポケモンには使えない。)が《活力の森》よりも優先されるからです。
※()は[]と違いカード固有の効果です。
つまりカードの「カードの効果」と「カードの効果」が重複するときは「厳しい方が優先される」のです。
これは考えてみると普通のことで「この公園では自由に遊んでよい」と「この公園の砂場では球技は禁止」という二つのルールがあれば、当然砂場で球技はできません。
「許可」と「禁止」が並立する場合は、「禁止」が優先されるというわけですね
ここまでのルールが把握できたら最初の疑問に立ち返ってみましょう。
《あやしい時計》の裁定
ここまで説明した内容は主に2つです。
- []のテキストは「効果」ではなく「ルール」である
- 「効果」と「ルール」では「効果」を優先する
《あやしい時計》のテキストにある[退化したポケモンは、その番に進化できない。]は効果ではなくルールであるので、Q1~3の内容は2つ目の内容の通り「ルール」よりも「効果」が優先されているだけである。
ということになり、退化させたばかりのポケモンをその番のうちに進化させることができるのです。
ここからは余談なのですが、そもそもなぜ退化させたばかりのポケモンをその番のうちに進化させることができないルールなのでしょうか?
しっかりとした理由がありますので、次項で説明していきます。
「退化」に関するルール
なぜ退化させたばかりのポケモンをその番のうちに進化させることができないのか。
この疑問への回答は単純明快です。
「退化したポケモンはその番に場に出たポケモンとして扱う」からです。
そのほかの点も含めて「退化」に関する注意点を整理しました。
- そのターンに場に出たポケモンとして扱う
- 退化前に受けていた効果や特殊状態はすべて解消する
- ダメカンはそのまま引き継ぐ(HPを超える量が置かれていれば気絶する)
- 下にカードがない進化ポケモンは退化させられない
つまりほぼ「進化」と同じですね!
4つ目のルールは今のスタンダードでは見かけませんが、「進化ポケモンを直接場に出す効果」があるので存在するルールですね。
特に《ルギアVSTAR》はエクストラで人気のポケモンですので、このルールはしっかり覚えておきましょう。


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